第5回遍路紀行   教会長   
 
 8月下旬、2年ぶりに「お遍路さん」に行かせて もらいました。台風10号が近づく中、決行か中止 か、気をもまされましたが、どうあれお繰り合わせ をいただくだろうと、神様にお礼とお詫びを申し上 げ、決行しました。

 今回は久万高原町の44番札所「大宝寺」から、 今治市の「国分寺」までの16カ寺に参拝させてい ただきました。 副教会長にとっては、初めての夜行フェリーの旅。 瀬戸内海は思った以上に穏やかで、快適な船旅とな りました。 お遍路さんは阿波国(徳島)が「発心の道場」、 土佐国(高知)が「修行の道場」、伊予国(愛媛) が「菩提の道場」、讃岐国が「涅槃の道場」と言われており、今回訪れた愛媛は、悟りの智慧に目覚め る土地です。 前回参拝した43番札所の「明石寺(めいせきじ) で納経をいただいた際、僧侶から「心をこめて参拝 するように」と諭され、以降の寺院では、本堂で「般 若心経」を、大師堂では「ご真言」をお唱えするよ うにしました。

  金光教の教祖さまは、37歳の時に母屋の改築に とりかかりました。当時、日柄方角の俗説に翻弄さ れていた教祖様は、庄屋さんに何度も何度も日柄方 角の吉凶をみてもらい、慎重に建築を進めましたが、 そのさなかに二男が天然痘で病死、三男と四男も罹 患しました。幸い、後の二人は回復しましたが、直 後に飼牛を病気で死なせてしまいます。これ以上災 難が続かないようにと、神仏に願いつつ建築を進め、 ようやく完成しました。 建築の前に、神様に「建築が成就したら、お祓いと 般若心経を50巻ずつ上げさせていただきます」と 約束されていた教祖さまは、その約束を守られまし た。教祖さまはその後も、ことあるごとに般若心経 を唱えられることがおありだったようです。

  今回、16か寺すべてのお寺で、一巻ずつではあ りましたが、般若心経をとなえさせていただきまし た。参拝をすませ、納経所で御朱印をいただくと、 毎寺参拝するごとに、すがすがしい心持にならせて いただくことができました。 どんな神社仏閣に参拝する時も、心をこめて参拝 することの大切さを改めて思わされました。 猛暑の中、車での参拝はいとも快適で、歩き遍路 をされている方にはまことに頭の下がる思いです が、車にも、遍路道にも、お世話になったあらゆる ものにお礼申し上げ、無事に帰らせてもらえたこと、 ほんとうにありがたくお礼申し上げている次第です。次回はいよいよ讃岐の国へ参ります。

 

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